日記 猫の足音

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2005年08月02日

「廃線路」

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小説推理9月号(双葉社)表紙

小学生の頃、
決まって夏に虫歯が痛くなった。
国立に母の友人の歯医者さんがいて、
ちょっと駅から遠いのだけれど、
よくそこまで通った。
国立駅北口から立川方向へ線路沿いに歩く。
しばらく行くと、
小さい踏み切りと引き込み線の線路が現れる。
その頃すでに、
使われていない廃線路だった。
そこを通るのが近道だった。

猫じゃらしを揺らして
向日葵の咲く家や栗林を抜け、
真夏の線路道を急いだ。
帰りは治療が終わっているので
足取りもかなり軽く、
私は枕木から次の枕木へ
ぴょんぴょん跳びながら帰った。
今はもう、
線路も枕木も取り除かれてしまった。

投稿者 mamiko : 01:22