日記 猫の足音

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2006年05月16日

鏡の中

只今制作中なのは、
この夏出版予定の児童書の絵。
ヒロシマ原爆のお話です。
表紙と本文の挿絵で23枚。
なかなかの大仕事です。

「八月の髪かざり」という、
タイトル文字も版画です。
黒いところは彫り残した凸面です。
彫りあがった版木はこのような鏡文字。
hanga_moji.jpg
勿論同じように、
絵も左右反転した状態で彫ります。
下絵と比べるとこの通り。
hanga_kamikazari.jpg
版画はまず、描いた下絵を
トレーシングペーパーに写します。
トレーシングペーパーを引っ繰り返し
裏側からなぞって版木に写し、
彫刻刀で彫るのです。
そしてまた紙に刷るという作業で、
元の絵の向きに戻ります。

制作中は彫っている時が、
一番集中して絵と向き合います。
たまにその反転した方に愛着が涌いていて、
いざ紙に刷って出来上がったら、
自分で描いた絵なのに
なにか違和感を感じる事があります。
まるで、鏡の中の世界に一度入り、
戻ってこれなくなったような気分です。

投稿者 mamiko : 02:24