日記 猫の足音

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2004年09月25日

前世の影響

テレビで動物映像を見ているときだった。
ナキウサギが冬に備えて食糧を集めていた。
ナキウサギとは、
耳が小さく丸い15cmほどの小さなウサギだ。
キチッキチッという声で鳴くそうだ。
映像のナキウサギは、
自分の身体よりずっと長い草花をくわえて、
引きずりながら運んでいた。
リスのように貯食をするが冬眠はしない。
冬に食べるための食糧を見つけては、
せっせと巣穴近くに持ち帰り、
岩の割れ目などに押し込んで溜めておく。

見ているうちに、
なぜか妙に懐かしい気持ちになった。
初めて見るはずの映像なのに。

私はすぐに何かを貯蔵する癖がある。
消耗品は常にストックがないと不安だ。
トイレットペーパー、セロテープ、
電球、石鹸、お茶っ葉など。
それらをせっせと買ってきては、
家のあちらこちらの隙間に押し込み安心する。
ストックがあるのに忘れて同じ物をまた
買ってきてしまうこともある。

これはもしかして、
前世の影響ではないだろうか?

投稿者 mamiko : 01:22

2004年09月11日

お母さん?

猫や犬の飼い主のことを
「○○ちゃんのお母さん(お父さん)」と呼ぶ。
多分、これは最近の流行だ。
ペットと飼い主の関係が近づいて、
家族として見るとやはり子供になるのだろう。

以前獣医科病院で、
鼻水の猫を連れてきた女性が
「私が悪いんです!風邪ひいちゃって...」
と言っていた。
先生は優しくこう答えた。
「人間の風邪は猫ちゃんには移らないんですよー。
猫ちゃんの風邪も人間には移らないんですよー」
人はどんどん犬猫を擬人化して、
感情移入して見るようになっている。

私はコゲとチビトムのお母さん?
確かに猫たちのことを「うちの子」と言うけれど、
我が子と思ったことはなかった。
だって、コゲとチビトムのお母さんは、
三毛猫のモコちゃん(今は亡き野良猫)だし。
(写真は1999年撮影のモコちゃん)
moko.jpg

では、私の地位はなんだろう?
兄弟でも友人でも恋人でもないし...
もっと親密な関係かもしれない。
私のプライベートはみんな見られている。
猫たちに秘密にしていることは何もない。

もしも猫たちが人間の言葉を話せたら、
真っ先に聞いてみたい。
「私はコゲとチビトムのなんですか?」

投稿者 mamiko : 03:20

2004年09月02日

足の裏のホクロ

私の右足の裏には、ホクロがあった。
楕円形の米粒大のホクロ。
それがちょっと珍しかったので、
子供の頃はよく友だちに見せて自慢した。
ところが、
二十代の始め頃にだんだん薄くなり、
間違ってマジックで書いたみたいになって、
終いには消えてしまった。

ある日、夫の足の裏にホクロを発見した。
私の足の裏にあったものにそっくりだ。
違うところは左足ということだ。
「このホクロ、子供の頃からあった?」ときくと、
「...さあ?」と首を捻っている。

私は盗まれたのではないかと疑っている。

投稿者 mamiko : 17:59

2004年08月20日

金縛りと悪夢

夜中にサッカーの試合を観ていたら睡魔に襲われた。
ハーフタイムの間だけ休もうとベッドに横になった。
後半戦までの10分くらい気持ちよくウトウト。
そろそろ後半戦が始まるから起きよう。

ところが、起きようとするが身体が動かない。
あ〜しまった...金縛りになりかけてる。
指の先からちょっとずつ動かす。
背中に重い物が乗っかって、腕に鳥肌が立っている気がする。
怖い物を見たら嫌なので(見たことはないけれど)、
目をぎゅっと瞑ったまま少しずつ動く。

居間からはサッカーの後半戦が始まった音がしている。
やっと起きあがって居間に向かう。
夫の横に座る。
がしかし、テレビ画面にサッカーが映っていない。
グレーの画面の左上に“ビデオ”と文字が光っている。

そこで目が覚める。
あれっ?まだベッドにいる。
また、動けない...。
何だか先程より更に身体が重い。
なんとかかんとか起きあがり、這いずるように居間に向かう。
またテレビ画面が変だ...違う。
薄暗い画面に外国のドラマみたいなものが映っている。

そこでまた目が覚める。
今のも夢か。
もう一度がんばって起きあがり居間へ。
しかし、まだあのドラマの映像??
サッカーの試合の音がしているのに。

またもや目が覚める。
今度こそ起きるぞ。
なんだか目が開かない。
ベッドの側の棚に手をかけ触りながら行く。
こんなにこの棚は長かったっけ?
また騙されてる。
これは夢だ。

ほら目が覚めた。
やっぱり夢だった。
今度はトイレの方に向かってみる。
なんだか家中が暗い。
トイレの扉を開ける。
目が開かない。
自分の瞼を手でこじ開けるが、トイレも暗い。

そしてまた目が覚める.....。

こんな事を延々くり返し、8回目の目覚め。
やはり重たい身体を動かして居間に向かう。
半信半疑でテレビ画面を確認。
サッカーは後半戦が始まって3分以上が経っていた。
どうやら現実のようだ。
「8回目でやっと起きられた」と苦労を夫に告げるが、
「?」と言う顔をされてしまった。
やっとの思いで起きて来たのに。

投稿者 mamiko : 16:24

2004年08月17日

ツカレ

「ツカレ」は、水蒸気みたいなものだ。
空気中に浮遊していて、
忙しくしていると磁石のように身体に吸い付いてくる。

「ツカレ」は身体にくっついているのだ。
疲れているのは、憑かれているのだ。
そして、体内の水分を吸って重たくなっている。

ベッドの上に大の字で突っ伏してみる。
するとベッドマットに「ツカレ」が
ゆっくりとじわーっと沈んでゆく感じがする。
背中にはコリが甲羅のように貼り付いているので、
仰向けではなくうつ伏せの方が
より早く「ツカレ」を放つことが出来る。

投稿者 mamiko : 15:27

2004年08月09日

韓国ドラマにはまる

韓国ブームだ。
ぺ・ヨンジュンさんが流行っている。
しかし、“フユソナ”も“ヨン様”も好みではない。
なんでも名前を短縮するのは嫌いだ。
「冬のソナタ」は数回見てみたが、
どうも主人公の2人に親近感が沸かない。
(ファンの方々、ごめんなさい)

そんなことを思いつつ、
同じ監督のドラマ「夏の香り」を見た。
(今wowowで吹替版放送中)
主人公の男優さんの茶髪のサリーちゃんパーマが、
似合っていない。
何よりも彼のファッションが許せない。
なぜあんなにインパクトのあるシャツばかり着るのか?
そういう物を着そうな性格の役ではないと思うのだが。
唯一、彼の眉毛が良い。
と思ったら、その男優さんのあだ名は
「墨のような眉」だった。

しかし...女優さんが可愛い。
すごくキレイな目で、毎回涙ぐむ。
私も一緒にせつなくなって毎回涙ぐむ。
一番良かったのは、夜のサッカーグラウンドのシーン。
黄緑色の芝生の上で裸足でダンスをする。
彼の足の上に彼女が足を乗せて...
数少ないキスシーンよりずっとドキドキだった。
いくつかつっこみどころもあるにはあるが、
いつのまにかどっぷりはまってしまった。

このドラマのキーワードになっている曲は、
シューベルトのセレナーデ。
私の通っていた保育園では、お昼寝のBGMになっていた。
と言うわけで、その曲がかかるたびに、
カーテンを閉めた薄暗い保育園の部屋に、
布団が並んでいる情景がつい浮かんでしまう。

投稿者 mamiko : 20:16

2004年07月16日

遭遇

10歳くらいの時のこと。

冬の夜、祖母と手をつなぎ歩いていた。
祖母の家からすぐの角を1つ曲がったいつもの道。
そこで私は息を呑んだ。
向こうから大きな黒っぽいものが、
のしのしと歩いてくるのが見えたからだ。
外灯に照らされたその黒っぽい生き物は、
首もとに白い三日月がある。
…ツキノワグマ!

ん?ちょっと待てよ…ここは東京世田谷。
近所に山もなければ、動物園もない住宅街。
なぜここに ?!
私たちの他には周りに人影は無く、
1本道に祖母と私とツキノワグマだけだった。

学校で国語の教科書に
ツキノワグマが出てきたばかりだった。
マタギの話だったと思う。
立ち上がったツキノワグマの挿絵が描かれていた。
首には三日月型の白い斑紋。
私はすぐにその熊の名を覚えた。

熊はぬいぐるみとは違って、
力が強くて大きな爪や牙がある。
襲われると大変だということくらいは知っていた。
「熊にあったら死んだふりをする」のだ。
「でも、死んだふりをしても危ないらしいよ」
なんていう話も聞いたことがあった。
じゃあ、どうすればいい?
一目散に逃げようか?
でも早く走れるだろうか?
犬は逃げると追いかけてくるけれど、熊は?
小さい脳みそで私はぐるぐると猛スピードで考えた。
祖母の顔を見たが、どうやら気付いていない。
ここで熊のことを伝えたら、
驚いて腰を抜かしてしまうかもしれない。
とにかく考えなければ…。

そうだ、知らん顔をしよう。
騒いだらきっと襲われるから、黙っていよう。

そんなことをあれこれ考えているうちに、
ツキノワグマはずいぶん近くまで来た。
祖母と私は道の左側を歩いている。
私との距離はもう1.5メートルぐらいだろうか。
私はドキドキしながらつないだ手をぎゅっと握って、
ツキノワグマとすれ違った。

幸いツキノワグマの方も知らん顔をして、
のしっのしっと地面を踏みしめ通り過ぎた。
あー良かった。
私はそうっと振り返った。
ツキノワグマはT字路の突き当たりにさしかかり、
何の迷いもなく左へ曲がって行った。
駅の方へ…。

安心した私は、早速祖母に報告した。
「今、ツキノワグマが居たよ。あっちに曲がって行った」
祖母はちっとも驚かず、
「そーお?」とだけ軽く答えた。
全く驚きもせず、確かめに行く気配すらない。
信じてもらえなかったのだ。
もっと早く言えば良かった。

私はしばらく黙って歩きながら、
ツキノワグマが今頃どこを歩いているのか考えた。

投稿者 mamiko : 00:38

2004年07月11日

夏が来た

うちの斜め裏の家には、
初老のおじさんが1人、
サビ猫1匹と暮らしている。
その猫は外には出ないが、
ときどき2階の窓からこちらを見おろしている。

夜、網戸越しに、
「ポーンポンちゃんはーかっわいいな〜♪」
と、おじさんの歌声が聞こえてくる。
そう、猫の名はポンポンちゃん。
おじさん、なかなか良いセンスをしてる。

その歌の後、
「イタタタタ、イタタタタ!」
という声もよく聞こえる。
どうやらおじさんは、
可愛いポンポンちゃんをかまいすぎて、
すぐ囓られたり
引っ掻かれたりしてしまうらしい。

おじさんとポンポンちゃんの
そんなやり取りが聞こえてくると、
ああ、夏が来たなと思う。

投稿者 mamiko : 00:29

2004年06月30日

悪夢

寝室の天上から地引き網のように
蜘蛛の巣が何重にも垂れ下がっている。
ゴマ粒ほどの小さな蜘蛛がいっぱい。
私はこのままでは眠れないので、
必死に定規を振り回し、
取り払おうとしている。
けれども蜘蛛の網は弾力性があり、
なかなか切れない。

これは仕事の締め切り2日前に、
3時間仮眠したとき見た、
眠りたいけど眠れないという判りやすい夢。

それにしても猫たちは、
そんな私の傍らで好きなだけ眠りほうける。
あまりに幸せそうなので、つねりたくなる。

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しかしある日、
アトリエで眠っていたコゲが、
「ニャッ」と大きな声で叫んで起き、
周りをキョロキョロと見回したことがあった。
寝るために生きているみたいな猫も、
時には悪夢を見るらしい。

投稿者 mamiko : 00:09

2004年06月29日

達成感

締め切り日は、昨日だった。
しかし当日の朝には、
まだ最後のリノリウム(版木)を彫っていた。
夜の10時、仕上げたばかりの絵をバイク便に託し、
とうとう仕事終了。

短期間で大きな版画6枚。
刷り作業と着彩作業もあるので、
一日1枚ずつ彫らなければならなかった。
普段なら1枚彫るのに2〜3日はかかる。
こんなペースで版画を制作したことは今まで無い。
毎日カレンダーを睨みながら、
「本当にこれが終わる日が来るの?」と自分に訊く。
これはもう体力勝負。
途中で右腕が悲鳴を上げ、湿布を貼った。
中指には彫刻刀ダコ。
左手も版木をずっと押さえているため、
右よりも更に肩が凝る。
最後の方では左肩ビリビリとしびれだした。
少し前に「私の外付けエンジン」と称したドリンク剤は、
足りなくなって数本買い足した。
あんなに毎日飲んでいたのに、歯茎に口内炎が出来た。
ドリンク剤に多く含まれているビタミンB群は、
いったいどこへ…?

期待していたアドレナリンの分泌は、
5日目くらいに来たようだった。
その頃はちょっと楽しかった。
しかしそれを通り越し、
締め切り前日にもまだ終わっておらず、
ちょっと悲しくなって涙ぐんだ。
過労死したらどうしようかと不安になった。

でも終わった。
我ながらよく頑張った。
隣に住む父が仕事で5日間程マレーシアに行っていたが、
私はその間に近所のコンビニに一度行っただけだった。
それ以外は外出していない。
私がテレビを見られない間にサッカーユーロ2004は、
スペインもイタリアもドイツもクロアチアも
スウェーデンもデンマークも敗退してしまった。
サッカーの大会では、
当たり前だが優勝チームしか笑って終われない。
3位決定戦があると3位チームだけはにこやかに終われるが、
それ以外は悲しみのどん底みたいな顔をして敗退してゆく。
特に準優勝のチームは可哀想だ。

私は大仕事を終える度、
とてつもない達成感を味わい、
毎回優勝したみたいな気分になれる。
(写真は制作した版画の一枚)

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投稿者 mamiko : 00:07

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